2024年4月19日金曜日

第3518話 いつも元気な砂町銀座

東京に、いや、日本全国どこにでも
数多あるナントカ銀座。
そのうちJ.C.一番の気に入りは
江東区・北砂の砂町銀座である。
丸八通りと明治通りを結ぶ、
東西600mほどの商店街だ。

シャッター街と化した銀座が多い中、
此処はいつ訪れても元気いっぱい。
活気にあふれている。
久々に行きたくなって出掛けた。

「銀座ホール」に入ろうとも思ったが
待て、待て、端から端まで歩いてみよう。
どんなめっけもんが潜んでいるやも知れぬ。
すると・・・ん?「みどりのおかず」?
記憶にない店舗に出くわした。

店頭に焼き鳥、惣菜、弁当などが所狭し。
店内をのぞくとドライ生のタップが見えた。
オネエさんに
「おかずを買って中で飲めるの?」ー訊ねると
「ハイ、そうですヨ」ー明るいお応え。
「お店は前から在ったっけ?」
「エエ、9年くらいになります」

5個入りのたこ焼きと
肉野菜炒めのパックを手に取り、
中ジョッキをお願い。
CODの支払いは809円也。

たこ焼きを1粒、口内に放り込むと
辛うじてオクトパスを感じられた。
2粒目を箸で割ったら
紫式部の小指の先ほどのたこが出て来た。

野菜炒めは食べ出があった。
豚バラ・キャベツ・もやし・にんじん・
ニラがけっこうな量、よく炒まっている。
味も真っ当な町中華のレベルに達していた。

生をもう1杯飲んで銀座を丸八通りに抜け、
北に歩いてほどなく大島の町。
此処に来たら「亀戸餃子 大島店」だ。

カウンターに陣を取り、
ドライ大瓶と餃子1人前(5ヶ)を発注。
ゆでもやしが出て来るのは毎度のこと。
卓上のガーリックオイルと酢をかける。

餃子の旨さは相変わらず。
J.C.的には東京で1番。
2番は飛鳥山の「豫園飯店」である。
老酒を1杯所望し、
意気揚々と引き上げました。

「みどりのおかず」
 東京都江東区北砂5-1-32
 03-5683-0203
「亀戸餃子 大島店」
 東京都江東区大島4-8-9
 03-5628-0871

2024年4月18日木曜日

第3517話 ビールの友の草だんご

足立区・北千住で所用を済ませ、
遅めの昼食とまいりましょうかー
そうだ、西新井大師に参りましょう。
東武伊勢崎線だと西新井乗り換えだが
北千住からは大師行きのバスが出ている。
OK! 発車、オーライ!

参詣もそこそこに参道を戻り、
かねて利用したかった「かどや」へ。
ブリキのペンキがはげかかり、
妙な愛嬌をかもす、どレトロな店。
ラーメン、うどん、焼きそば、あんみつを出し、
店頭で今川焼(120円)も売っている。
ただし、アルコールはビールすらないのが残念。

=代金は品物と引き換えにてお願い致します=

店内のあちらこちらに貼り紙がペタペタ。
ラーメン(500円)と引き換えに
コインを1枚差し出した。

あっさりスッキリ鶏ガラ出汁に細打ちちぢれ麺。
具材は、ももチャーシュー・シナチク・ナルト。
期待通りの素朴感が舌を和ませ、心に響く。

参道を再び山門に向かう。
次に入ったのは門前の「清水屋」。
名物は草団子である。
ドライの中瓶を発注し、品書きに目を落とす。

軽めのものは、枝豆・酢の物・上新香・
焼き鳥・おでん・もつ煮込みといったところ。
でもねェ、ラーメンのあとだしなァ。
そうだ、ここは一番、開き直っちゃうかー。
窮鼠、猫を咬むの例え通り、
思い切って草だんごを注文したのでした。

まさに、ビールの友の草だんご。
これが予想を覆すヒットであった。
選手を使い切ってしまい、
代打にピッチャーを送ったら
タイムリーを放ってくれたケースだ。

餡子滑らかにして上品な甘さ。
6粒のだんごきめ細かく、よく延びる。
葛飾・柴又の題経寺(帝釈天)参道と
比べてしまうが「とらや」よりはるかに上。
「高木屋老舗」と同レベルか?
いや、それ以上かもしれない。
草だんごは柴又より西新井がオススメだ。

隣り合わせた左右の客は天丼と天ざる。
天ぷらはタネ、揚げ切りともによし。
そばは茶切りでなかなか美味しそう。
次回は食事をしてみよう。
そんな気にさせられたのでした。

「甘味 かどや」
 東京都足立区1-7-12
 03-3890-2360

「清水屋」
 東京都足立区西新井1-9-11
 03-3890-4122

2024年4月17日水曜日

第3516話 始まりは真っ赤な梅干し

隅田の川っぺりの桜を堪能したので
この日は荒川沿いに出掛けてみた。
バランスをとる意味もあってネ。
都営新宿線を降りたのは
江東区の東のはずれ、東大島だ。

ビールを買い忘れ、シラフで歩いた。
花見客なんぞ一人としていない。
というより誰もいなかった。
思う存分、ぶ~らぶら。

船堀橋で荒川と中川をダブルで渡り、
船堀駅前に到達した。
この町に来たら当然「百味家」である。
あれ? 看板が付け変わってる。
「船堀食堂 百味家」だってサ。
飲む客より食う客を呼び込むつもりかな?
どっちでもいいや、おジャマしまッス。

ズラリ並ぶ料理の皿、皿、皿。
ふと目についた梅干しの小皿を手に取った。
真っ赤っ赤ではあるけど、
これは食紅による着色であって
間違っても紅麹ではあるまいな。
種をしゃぶりながら、そう思う。
種をしゃぶれども果肉はまだとってある。

ドライの中ジョッキを飲りつつ、
何かもう一品欲しい。
料理台に戻り、珍しくチキン南蛮をー。
敷かれたレタスとオニスラがうれしく、
チキンは柔らかいし、タルタルも上出来。 
これは当たりでした。

赤紫蘇ドリンク、バイスサワーに切り替えた
梅干しに赤紫蘇は付き物だからネ。  
バイスの友に箸先で突ついていると
とてもよいアクセント。
梅干しと信頼感で結ばれた気がした。

船堀駅前ロータリーに戻ったら
間もなく新小岩駅行きのバスが来る。
前回、時間が早過ぎてあきらめた、
立ち飲み「しげきん」に寄ってみよう。

ドライの中ジョッキに
富山湾産ホタルイカの酢味噌を所望。
兵庫産に比べ、プリプリ感がまったく違う。
これにはワカメもたっぷり添えられていた。
辛子のよく効いた酢味噌がシャープだ。

さいたま市の清酒・蔵そだちを1杯、
常温で飲み干し、さァ、これからは?
JRで錦糸町、バスで綾瀬、
そのどちらかになりましょう。

「船堀食堂 百味家」
 東京都江戸川区船堀3-2-3
 03-3869-6610
「しげきん」
 東京都葛飾区新小岩1-30-8
 03-5662-8536

2024年4月16日火曜日

第3515話 J.C.イチ推しの花見スポット

ビールで煮込んだカレーのあと、
いよいよ花見。
ドイツビールをあえて回避したので
まずはコンビニに直行。
ドライのレギュラーを2缶買い、
隅田川を中央大橋で渡った。

橋の南詰から佃公園に掛けての左岸沿いが
J.C.イチ推しの花見スポットである。
桜そのものは千鳥ヶ淵や播磨坂に
勝ると云えないまでも
何たって此処の魅力は花見客の少なさ。
ゆるりと花を愛でることができる。

今年も花の下の独り歩きはあちこちで敢行した。
上野公園は多くの人が宴を催す、
お山よりも不忍池のほとりが断然よろしい。
日比谷公園も穴場ながら
桜の木が少な過ぎるきらいあり。

千鳥ヶ淵&靖国神社ではヒドい目にあった。
あの人ゴミは、もとい、人混みはいったい何だ?
3分歩いて退散の巻。
あれじゃ、花見じゃなくて人見だヨ。
桜に代わる人のドタマにゃ、やってられまへん。

隅田のほとりでくつろぎ、
相生橋で晴海運河を渡り、門前仲町へ。
気に入りの立ち飲み酒場、
「ますらお」に来るも、またまた臨時休業。
やる気あんのか? 責任者出て来い!

すぐそばの「魚三酒場」をのぞいたとき、
入口近くにちょうど席が2つ空いており、
直ちに舞い戻ったものの、
すでにテイクン・バイ・レディース。
2階もいっぱいだったが2階のオニイさん、
下の ”はなれ” ならOKとのこと、再び階下へ。

はなれというのは
2つのコの字カウンターの左側。
窓辺に備わるエクストラ・カウンターのこと。
1階のオジさんが3席を2人で
自由に使えと云ってくれ、お言葉に甘えた。

ドイツカレーのせいで腹はパンパンだけど
別腹のドライ大瓶をお願いし、
できるだけ少量のつまみを吟味した。
生うに&焼きはまぐりを注文。
これならパンパンでもクリア出来る。

「魚三」が初めての相方は
雰囲気の良さと値段の安さにW感激。
次週には友人を連れて
再訪すると意気込んじまってる。
ドライのお替わりと肝付きあわびを追加。
肝が売り切れてしまい、身だけとなった。

大瓶2本、つまみ3品で勘定は3千円少々。
西東京の山の手じゃ、どう背伸びしたって
出来っこない芸当じゃござんせんか?
I love Shitamachi でございます。

「魚三」
 東京都江東区富岡1-5-4
 03-3641-8071

2024年4月15日月曜日

第3514話 ドイツのカレーは ビールで煮込む

のみとも・S織からメール来信。
花見に行きたいので
ここぞという所に連れて行けとの仰せ。
いいでしょう、いいでしょう、お連れしましょ。
人の少ない、とっておきのスポットがあるんだ。
おっと、その前に腹ごしらえ。

メトロ日比谷線・八丁堀駅で待ち合わせた。
銭形平次のキメぜりふが脳裏をよぎる。
「八丁堀の松殺しの下手人が
 挙がったってェじゃねェかい
 八、ひとっ走り走りねェ」

南高橋を高橋から眺めつつ、亀島川を渡る。
此処からの景色は Best10 of Tokyo に
数えられるほどの絶景である。
橋の南側は新川だ。
新川には江戸の昔、各地から酒樽が集結した。
米蔵だと蔵前、酒蔵なら新川と
相場が決まっておった。

2年ほど前、築地にあったドイツ料理店、
「ピラミッド」が新川に移転した。
13時過ぎで店先には4人の並び。
1グループだから即解消されて入店。

昼のメニューはカレー一色である。
何回かドイツには行っているが
彼の国でカレーは食べたことない。
それどころか見たことすらない。
まっ、ずいぶん昔のハナシだけどネ。

品揃えは5品。
すべてドイツビールで煮込まれている。
チキン・ビーフ・ソーセージ・キーマに
本日のカレーはボンゴレと来たもんだ。

協議の結果、チキンとソーセージを通す。
ビールは花の下までとっとくとして
ミント葉入りのお冷やでガマン。
200円以下のトッピングが付くというので
ザウアークラウトとミニサラダをお願いした。

カレーのソースはどちらも欧風で似たり寄ったり。
ビールで煮込まれたという感じはあまりしない。
驚くのはその具材でチキンはもも肉がたっぷり。
ソーセージは長いのがとぐろを巻いていた。
途中からの味変のため、生クリームが付いて来る。
ライスの上にはちと水っぽい、
マッシュドポテトが鎮座していた。

ザウアークラウトは
本来の酸っぱいタイプではなく、
日本橋「たいめいけん」の定番、
酢油キャベツによく似たタイプで美味。
サラダはガーバンゾー(ひよこ豆)入りだ。

会計は2640円。
さぁ、S織、これから桜花を愛でるぞヨ。

「ピラミッド」
 東京都中央区新川2-3-7
 03-6260-3808

2024年4月12日金曜日

第3513話 山田太一と木下恵介 (その2)

そして2本目は松竹大船の
「惜春鳥(せきしゅんちょう)」(1959)。
監督・脚本ともに木下恵介である。

例によってその前に昼めし。
前回好かったので「グランタイム」再訪だ。
当店は千葉県の企業の運営で
地産地消をモットーに
多古米や房総ポークを積極的に提供している。
大原漁港仲買人の免許も取得済みの由。

今回はランチビールとともに店の意を汲んで
房総ポークの生姜焼きにした。
スープ・サラダ・ライスが付き、
バラ肉は1100円、ロースだと1200円。
豚の脂身は大好き、バラを選択する。

もやし・玉ねぎ・にんじんと炒めてあった。
肉・野菜ともにたっぷりである。
脇の生野菜はキャベツ・きゅうり・トマト。
豚の味付けはちょいと濃かったものの、
それなりに美味しくいただいた。

それにしても当店は女性客ばかり。
男女比は2:8、いや、1:9かな?
スープもサラダもメインディッシュも
野菜がいっぱい、夢いっぱい、だからねェ。

さて惜春鳥、これは架空の鳥だ。
映画「惜春鳥」のストーリーは
5人の高校同級生を軸に進む。
彼らを鳥に例えて過ぎ去りし青春を
惜しませるということらしい。

津川雅彦・川津祐介・小坂一也・
石濱朗・山本豊三、懐かしい顔ぶれが揃う。
彼らのエピソードを縦糸とすれば
横糸は佐田啓二と有馬稲子。
暗い過去を持つ、訳アリのカップルである。

舞台は会津若松。
当地ゆかりの白虎隊、その剣舞が
これでもか、これでもかと舞われる。
鳥たちだけにとどまらず、
芸者・みどり役の稲子もたびたび舞う。
踊りの基礎を習得した彼女、見事なものだ。
熱いファンにつき、ひいきの引き倒し。
そのそしりは免れないけどネ。

来月(4/20~5/24)の特集は
=戦前戦後 東京活写=
 映画の中で生き続ける、
 失われた東京の風景
楽しみで楽しみで今からワクワクしている。
全20作中、ザッと半数は観るでしょう。
興味のない方には申し訳ないが
リポートするのでおつき合いくださいネ。

「グランタイム」
 東京都千代田区神田神保町1-19-1
 03-6803-3966

2024年4月11日木曜日

第3512話 山田太一と木下恵介 (その1) 

今月(3/23~4/19)の神保町シアターは
標題通り「山田太一と木下恵介」。
けれどあまり惹かれることもなく、
鑑賞は12本中2本にとどまった。

1本目は武者小路実篤の「友情」と
「愛と死」を原作にした「愛と死」(1971)。
脚本が山田太一、制作は松竹大船だ。

この原作は日活映画、
「世界を賭ける恋」(1959)でも採用された。
あちらは裕次郎&ルリ子で監督は滝沢英輔
こちらは新克利&栗原小巻で監督は中村登。

まず、いつものようにチケットをゲットしたら
近所で腹ごしらえだが、この日はあいにくの雨。
シアターのはす向かいのカフェ・レストラン、
「グランタイム」に初めて入った。

正午過ぎで7割の入り、天気のせいかな?
4席しかない窓辺のカウンターに陣を取り、
シアター入口を眺めながらの食事。
ランチビールは一番搾りの生だけど、
仕方なくお願い。

本日のパスタはスパゲッティで
小海老・アスパラ・リコッタのトマトクリーム。
これが意想外に美味しかった。
初めに出たフジッリ入りサラダと
野菜コンソメもおざなりではなく好かった。
生をお替わりして会計は1600円也。

界隈をぶらぶらし、シアターへ。
武者小路の小説2作をまとめ上げ、
山田がシナリオにした労作は正直言って
さほどのデキと思えない。
「世界を賭ける恋」のほうがいいネ。

裕次郎と新克利の差と言ったら
克利が可哀想だけど
男が女の元を離れて行く先が
欧州と奥州ではあまりに違い過ぎる。

監督の中村登は特異な人で
1950年以降はほとんど文芸路線専門。
大佛次郎・山本有三・永井荷風・
志賀直哉・井伏鱒二・舟橋聖一・
三島由紀夫・吉屋信子などなど。
何の因果か知らんが、ちとやり過ぎだろう。

ちなみにJ.C.が一番好きなのは
松本清張原作の「波の塔」。
ヒロイン・有馬稲子に
心を奪われちまいやした。

=つづく=