西伊豆の戸田は
深海魚の宝庫と言われる。
駿河湾は日本で最深の湾だからネ。
本日の昼食はその戸田で
高足蟹専門店を自認する、
「お食事処かにや本店」。
網元 光徳丸直営店である。
1階の売店には水槽というか、
もはやプールがいくつかあって
世界最大の蟹がウジャウジャと
ひしめき合っている。
蟹類はおおむね水の中で
ジッとしているものだが
高足は元気いっぱいだ。
大きさもさることながら
生きているのに色鮮やで
茹でる前から真っ赤。
脚は鱈場蟹より細いが
見た目はとても美しい。
2階のダイニングに上がり、
駿河湾を眺めながら
蟹のしゃぶしゃぶをいただく。
脚肉2本、バラしたボディ。
あとはキス・イカ・海老が1つづつ。
そして椎茸・エノキ・水菜・うどん。
締めに雑炊まで出来る。
ほかにも刺し盛り・塩辛・茶碗蒸し。
まだ何かあったが例によって省く。
とまれ年配者が多いツアーで
こんなに要らないけれど
けっこう食うわ、最近の年寄りはー。
家で嫁さんに食わせてもらって
ないんだネ、たぶん。
さて、肝心の蟹の味である。
ハッキリ言って期待ほどではない。
どうにも大味なんだ。
大男 総身に知恵が 回りかね
じゃないけれど、
巨大蟹 総身に味が 回りかね
でありやした。
おまけに世界一大きい蟹は
世界一食いにくい蟹でもあった。
とは云え、話のタネに
一度は食べてみて欲しい。
総量の半分は残したが
蟹だけはしっかりやっつけ、
そして今日は気兼ねなく、
中瓶を2本飲んだ。
1階の売店で物色していたら
高足蟹の甲羅があって
高足面と名前が付いていた。
面白いので購入すると
割れちゃいけないってんで
丁寧に包んでくれる。
さあ、これから未踏につき、
ずっと訪れてみたかった、
修善寺に向かいます。
「御食事処かにや本店」
静岡県沼津市戸田354-4
0558-94-2235
翌朝はまず大浴場に入り、
7時から和朝食。
昨夜と同じ席で担当もロジーナ。
彼女の住まいは
他のスタッフと一緒のアパート。
ホテルの送り迎えはあるが
いったい、いつ寝てんだ?
小鉢が9品、3列3弾構え。
面倒なので内容を省く。
伊勢海老出汁の味噌椀は花マル。
七輪に鯵の開きが焼かれている。
坂上の二郎サンみたいな
鯵の目がこっちを見ていて
何か問い掛けている気がした。
「お客さん、アンタ、
どうしても私を食うのかえ?」
意表を衝かれつつ、即答する。
両手の甲に向かって
「食べます、食べます!」
「お客さん、昨日残したプリン、
冷やしときました」
ロジーナがかぼちゃプリンを
運んで来てくれた。
こんなことをしてくれるのは
旅館ならではだ。
大勢のスタッフに見送られ、
手を振られる中、
バスが向かったのは城ケ崎。
ロス・プリモスの久保チャンが
歌い出したが自重しておく。
浪花の小姑も五月蠅いしネ。
志摩の横山、福井の東尋坊など、
最近は高い所から海を見て来たが
此処の迫力はひと味違う。
門脇吊り橋の存在が大きい。
足元に白波砕け散る光景を
上から眺めてると足がすくむ。
「城ケ崎ブルース」の歌碑があり、
なぜか3番だけだ。
一度は思いとどまったが
しょうがない、いっちゃうかー。
♪ 愛してくれた 小指の爪を
そっとかたみに
つつんで入れた
ハンカチ白い 城ケ崎
あなたが帰る 遠笠山が
涙にかすむ 夜のはて ♪
(作詞:星野哲郎)
この曲は1968年のリリース。
地元の観光協会がレコード会社に
依頼して制作された。
相模湾を臨む東伊豆の城ケ崎から
西伊豆方面へ移動。
ランチは待望の高足蟹が
駿河湾を臨む戸田(へだ)で
待っているが、その前に達磨山へ。
あいにくの富士山は麓だけ。
頂上を見ること叶わなかった。
まっ、夏場はかすむから
高所に上っても遠望はムリだネ。
さァ、昼めし、昼めし、高足蟹!
「ホテル 志なよし」
静岡県賀茂郡東伊豆町
奈良本983-1
0557-23-2260
熱川温泉に到着し、
「ホテル 志なよし」に投宿。
蒲団を並べれば8人は
眠れそうな大部屋に独りだ。
かき氷は食べないけれど
2階に設置された、
かき氷サービスコーナーに
出向いたら古い新聞の切り抜き。
1970年にオンエアされた、
TV番組「細うで繁盛記」を
論じていて観たことはないが
新珠美千代をイビる、
富士真奈美の決めゼリフ、
「ちょっくら加代!
おみゃ~の出る幕じゃあ
にゃ~ズラよ!」
コレはよく耳にした。
驚いたのは温泉旅館の舞台が
この熱川だったこと。
さっそく晩めし前に
旅館街を歩きめぐる。
スゴいとこだネ、此処は!
あちこちに温泉が噴出している。
流れる川の水も熱く、
熱川の名前はここからだ。
18時に夕食が始まった。
温泉旅館のご多分にもれず、
すさまじい量の料理が
卓上にところ狭し。
誰がこんなに食うんだい?
食うのも大変だが書くのも厄介。
よって主な料理だけにしておく。
献立はトロ箱プランと来たもんだ。
刺身ー伊勢海老・鮑・
真鯛・鯵・まぐろ
酢物ー鯵南蛮漬
焼物ーバサ(亜細亜ナマズ)照焼
煮物ー金目鯛姿煮
ほかに10品ほど
頑張った。
でも、だいぶ残した。
金目なんか半分もイカない。
白飯・味噌椀・デザートはパス。
中瓶1本と中生2杯は飲んだ。
接客はネパール娘のロジーナ。
なかなか好いコで
細かいところにも気働きが及ぶ。
久しぶりの日本旅館だが
スタッフと客との気脈が通じ、
タマにはいいもんだネ。
温泉は明朝にして夜の町に出る。
先刻、目星をつけておいた、
スナック「ブーケ」へ。
46歳のママ独りの切盛りだ。
なかなか可愛い人で
熱川も捨てたもんじゃないねェ。
23時くらいまで居たのかな?
4本の中瓶を飲んじまいやした。
「Bouquet(ブーケ)」
静岡県賀茂郡東伊豆町
奈良本984-4
090-9268-0087
衝動的に申し込んだツアー第3弾。
今回の行く先は
伊豆グルメと熱川温泉2日間。
三島うなぎ・高足蟹・
伊勢海老・金目鯛が味わえる。
J.C.の狙いは何と云っても
世界最大の蟹、高足蟹で
他は無くても構いません。
朝8時半に東京駅に集合し、
特急 踊り子で1時間ちょっと。
神奈川県・湯河原駅前で
バスに乗り込んだ。
到着したのは「割烹 御殿川」。
ずいぶん立派な建物で
国道136号線沿い。
東側を御殿川が流れている。
三島うなぎを味わうとの
キャッチフレーズで
JR三島駅から3kmほど南だ。
団体用の大部屋に通され、
食事がスタート。
あれえ、誰も飲みものを
注文せず、総勢19人中、
ビールを発注したのは
われ独りの有様である。
重箱の蓋を開けると鰻クン。
上半身半分に下半身丸々、
4分の3尾が横たわっていた。
あまり期待しなかったが
一箸入れて深く頷いた。
蒸しも焼きもタレの塩梅も
高水準に到達している。
さすがに三島の鰻であった。
吸い物に肝は無く、
あさり2個・三つ葉・焼き麩。
香の物は出来合いで
しば漬けとつぼ漬けたくあん。
独りで飲み続けるのも何だから
中瓶1本にとどめた、
周りに気を遣うJ.C.なのでした。
三島大社へ。
20年ぶりくらいになるかな。
お参りもそこそこに
境内の神鹿園にまっしぐら。
奈良の鹿みたいに
放し飼いではないが
人によくなついており、
金網越しに餌をねだる。
インバウンドの少女が
煎餅だかパンだか与えていた。
沼津に移動し、御用邸記念公園。
明治26年に大正天皇のため、
造営された御用邸は
昭和44年に制度が廃止され、
都市公園として一般公開された。
人の棲んだ所を見ても
心に響くものとて無し。
ここでもすぐ外に出て
黒松林を散策し、駿河湾を臨む。
この林は三島の翌年に
来た記憶がある。
バスは伊勢海老と金目鯛の待つ、
熱川温泉へ走り続けています。
「割烹 御殿川」
静岡県三島市梅名477-8
055-977-6234
足立区の東のはずれ綾瀬に
「立ち呑み処 かあちゃん」なる、
酒場があり、明るいうちから
地元の呑兵衛で賑わっている。
J.C.も何度か利用させて貰った。
この街にはもう1軒、
「かあちゃん」があって
二人のかあちゃんがいるのだ。
存在は認知していたものの、
初めて二人目の引き戸を引いた。
コの字カウンターに
テーブル席が2卓。
カウンターに促される。
ランチタイムは
昼めし派が主流だが
昼飲み派もちらほら。
ドライの中瓶に
ハンバーグ定食のハンバーグを
単品でお願いした。
たっぷりかかったソースは
ケチャップ多めのデミグラス。
繊キャベが添えられて来たが
温かい料理には
温かい付合せが望ましい。
トンカツはじめ揚げ物なら
キャベツで問題ないけどネ。
強めのレモンサワーを貰い、
勘定は1560円也。
翌週、ウラを返す。
中瓶と此度は玉ねぎフライを。
串カツでビールを飲むのは
大きな歓びなんだが
豚肉そのものより
玉ねぎのほうが嬉しいくらい。
よって関西風の串揚げは好まず、
東京風串カツ一本槍である。
生搾りレモンサワーと
玉子焼きを追加した。
玉子焼きは塩・醤油・砂糖の三択。
迷わずお砂糖でお願い。
図らずも玉ねぎフライと玉子焼き。
玉玉コンビの結成を見た。
途中からウスターソースで
食べるのが好きなんだが
卓上には中濃のみ。
まっ、いいか。
本日の会計は1660円也。
ふと思い立ってオネバさんに
二人のかあちゃんの関係を
訊ねてみた。
もともと同経営だったが
先代社長が亡くなり、
たもとを分かつことに
なってしまったそうだ。
「ふ~ん、喧嘩別れだネ?」
「いいえ、トンデもない、
喧嘩なんかしてまっせん!」
きっぱり言われちゃいやした。
「かあちゃん」
東京都足立区綾瀬2-26-1
03-6662-4333
現在、神保町シアターは
終戦80年 映画で振り返る
「戦後」を生きるということ
何が言いたいのか
よく判らない特集を開催中。
全16本のうち観たのは2本。
小津安二郎の3本をはじめ、
既視の作品が多いためだ。
1本目は渥美清主演、
「おかしな奴」。
1963年、東映の製作で
監督は沢島忠。
美空ひばり母娘に慕われ、
錦之助の一心太助シリーズ、
鶴田浩二の人生劇場が代表作。
共演は三田佳子、南田洋子、
佐藤慶、田中邦衛の面々。
落語家・三代目三遊亭歌笑の
実話に基づいており、
寅さんシリーズが始まる6年も
前ながら渥美のおかしみは
すでに群を抜いている。
三田佳子もさることながら
南田洋子の美しさと言ったらない。
昔の女優サンは本当に綺麗だった。
左幸子との取っ組み合いが
話題となった「幕末太陽傳」が
つとに有名だが
J.C.的には本作が一番好きだ。
TV好きなら ’70年、
連続テレビ小説「虹」だろう。
「悲しき口笛」は
1949年松竹の作品で
監督が家城巳代治。
代表作は「路傍の石」。
美空ひばりのシングルレコード、
A面デビュー作にして
初主演映画でもある。
戦争で生き別れになった、
兄役の原保美が懐かしい。
NHKのTVドラマ「事件記者」で
新聞社4社が入り乱れる中、
東京日報の記者、
麻薬のベーさんが印象に残る。
これから上映される作品で
オススメは小津の「東京物語」、
成瀬巳喜男の「浮雲」だろうか。
8月16日からは
よみがえる 田宮二郎
が始まります。
「しなのや」を出てぶ~らぶら。
狭いなァ、町歩きは5分で終了。
矢口渡にでも行ってみるかー。
いや、猛暑日にそりゃ無謀だ。
同じ大田区の隣り町より、
神奈川県・川崎のほうが近い。
第一京浜国道を南下し、
多摩川を六郷橋で渡った。
川の水はチョロチョロ。
アザラシのタマちゃんは
何だってこんな窮屈な所に
迷い込んで来たのかな?
ソープ街・堀之内を過ぎる。
川崎随一の商店街、
銀柳街を突き抜け、
新川通りを横断した。
この先は映画の街、
チネチッタだ。
J.C.的には街で一番好きな店、
中華「成喜」に到着。
あれは5年前、名古屋からの帰途。
昼に静岡県・掛川でうなぎを食べ、
夕暮れには川崎で下車し、
此処で晩酌を楽しんだ。
いつの間にやら注文が
タッチパネル方式になっている。
QRコードよりはマシだけど
「成喜」よ、お前もか!
その感、否めず。
さっき大瓶を飲んだので
紹興酒にしてみた。
普段は常温のところを
暑さのせいでロックにした。
つまみは小皿の蒸し鶏だけ。
カツカレーのあとじゃ、
あんまり食えないからネ。
お運びのおばちゃんに訊く。
「中国酒の五加皮(ウカピ)、
なかったっけ?」
「エ~ッ! ええっと、
あった、ありましたねェ。
ずっと、大昔にねェ」
「そんな昔じゃないヨ。
つい5年前だヨ」
「あら、そうだったかしら?
あれは廃止しちゃいました」
「廃止でっか?」
「ごめんなさいねェ!」
五加皮は白酒に山菜のウコギを
漬け込んだ酒で53度もあり、
国内ではゴカヒシュと呼ばれる。
5年前はソーダ割りを飲んだ。
紹興酒を1杯でやめ、
ビールが好きなんだねェ。
ハートランド中瓶をゴクゴク。
さぁ、あとは鶴見辺りかな?
いや、蒲田に戻る手もあるネ。
「成喜」
神奈川県川崎市川崎区小川町2-11
044-244-4888